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第2回:神事とお酒造り

【醸し人の覚え書】

今日は10月1日、日本酒の日です。
10月は干支で表せば酉の月、酉は酒に通じるので10月の1日は日本酒の日となっています。この日は毎年福岡県酒造組合で福酒奉納祭を行っております。今年(平成26年)は櫛田神社で行われました。本殿で献酒の儀を執り行なった後、境内の松尾様へ参拝し、直会(なおらい)を行って酒造家皆で今年も良い酒が出来るようにと名物の水炊きで杯を酌み交わします。


お酒造りに神事は欠かせません。何故なら私たち人間はお酒を醸すことが出来ず、醸すという行為、自然からの見えない力に畏怖していたからです。現代ではそれが微生物の作用であると私たちは知っていますが、それを知らずに利用してきた先人たちの思いが込められています。発酵も腐敗も同じ仕組みだからです。腐敗させずに発酵させるため私たちが出来ることは環境を整えることです。その為に、傲慢にならないよう、見えない力に畏怖するのです。

お酒造りに入る前に蔵の中をきれいに掃除します。これを秋洗いと言います。この秋洗いの前に人の心を掃除するのがこの神事だと思っています。秋洗いの前に3つの神事を執り行ないます。その3つ目の祭りが今日の日本酒の日に行う奉納祭です。

1つ目の祭りは城島天満宮の祈醸祭。地域の小学生が巫女さんに扮して良い酒が醸せるようにと浦安の舞を奉納してくれます。今年は秋分の日に行われました。

2つ目の祭りは松尾神社で行われる醸造安全祈願祭。このお祭りは、今季の製造を行う上で安全に醸し事故の無いようにと祈るお祭りです。城島の杜氏と酒造家が集まります。

そして今日の奉納祭で製造前のお祭りは一段落。まだ、田んぼには撓わに実った稲が刈り取りを待っています。蔵の掃除もそれにあわせて少しずつ行い、今季の製造を迎えます。自然のリズムを感じます。神事とお酒造り、これからも大切にしていきたいです。


平成26年10月1日(日本酒の日)


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このブログは比翼鶴酒造株式会社 常務取締役 二ノ宮啓輔の個人の意見や考えを書いております。

at 2014/10/01 19:51:30