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第15回 現役60年の台車の里帰り

【醸し人の覚え書】



比翼鶴には60年使用している台車がありました。蔵にやってきたのは昭和28年。現在に至るまで60年間、お酒を運び、資材を運び、時にはタンクを動かし、と現役で働いてくれた台車です。樫の木で作られた丈夫なこの台車、作ったのは熊本の平田車輌工業株式会社(現平田機工株式会社)です。


比翼鶴の二ノ宮と平田機工の平田氏は同じ蒲池家の一門で、創業者の妹が比翼鶴に嫁がれてあることから近い関係にあり、その縁で台車を作っていただいたのだと思います。その台車が60年の時を経て平田機工へと戻っていきます。
そして代わりの新たな台車を作っていただき、その譲渡式を行いました。


60年間壊れることなく現役で働き続けた台車、平田機工の技術の原点がここにあります。平田車輌は手押し車に始まり、リアカー、トレーラー、と運搬に携わり、コンベヤーの作製を機に平田機工となり現在の生産ロボットの作製で熊本の一大企業へと成長します。平田社長から歴史を伺い、「創業当時より形は変わったが”ものを動かす”というコンセプトは現在まで受け継がれている」というお話がとても印象的でした。ものつくりの原点がここにあります。


この台車はこれから平田機工の展示室に歴史として飾られることとなります。新しい台車はこれから更に60年以上比翼鶴で活躍していただき、平田機工の技術力を後世に伝えていくこととなります。


このお話は、私の伯父であるオフィスチェイカス横山氏の紹介でうちで当時の台車を今でも使用していることが平田氏に耳に入りと縁が縁を結んでの里帰りとなりました。歴史と縁を繋いでいく、これもまさに醸しだなと思います。


平成27年4月11日


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このブログは比翼鶴酒造株式会社 常務取締役 二ノ宮啓輔の個人の意見や考えを書いております。

at 2015/04/11 07:42:08